序章

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オイルランプの灯が揺れる。 2つの影を作る、頼りなく暖かい灯り。 暖色に染まる 鍛え上げられた、鋼のような肉体に、彫刻のように精悍な顔、銀色の長い髪。 体中に傷。大小無数の傷痕が、勲章が。彼の人生を饒舌に語る。 竜殺しの英雄 王国騎士団長 忠義の銀獅子 百の伝説を持つ、王国の英雄が――― ―――獅子は手足を繋がれて、自由を奪われていた。 3日前に、王が消えた。 王妃に先立たれて、失意から自室に籠るようになった国王は、護衛を煙がった。 娘の他は唯一、騎士団長ファストゥムだけが、王の自室に立ち入りを許された。 …その国王が、自室から煙のように消えた。 当然のように、"騎士団長ファストゥム"に嫌疑がかかる。 王失踪から2日後、ファストゥムは捕えられ、英雄は囚徒になった。
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