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「王なら殺して、棄てた。」とファストゥムは、
質実に、正論を、大義を、述べるように、
見透したように、語り始める。
2日前、収穫祭の夜―――
王室への立ち入りを許された身であるファストゥムは、
執務を終えて、自室でまどろむ国王に忍び寄る。
心臓を短刀で一突きして、王を暗殺した後、
血がしたたる前に傷口を焼き止血をし、亡骸は酒樽に詰め川に流した。
―――と語った。
「満足したか……?」
英雄は淡々と語り終え、私を一瞥して、
「わかったら、さっさと殺せ。」
語気はそのままに、圧を込めて言った。
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