第2章 恋するミツバチ 

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「どうして分かるんですか?」 「簡単さ。料理だって時間をかけて蒸らすともっと美味しくなるだろ」 もっと 美味しくなるから――? とんでもなく分からない顔をしてるんだろう。 ぷっと吹き出すと涼介さんは 「美味しいものを前にしたら人はどうなる?」 まるきり 子供相手にするみたいに聞いてくる。 「美味しいモノ……目の前にしたら……」 気分はマッチ売りの少女だ。 「欲しくなります」 一瞬姿を露わしたごちそうが 幻のように消えてゆく。
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