第2章 恋するミツバチ 

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「……怖い人ですか?」 「怖い?いやとてつもなくソフトだ」 「じゃあ意地悪?」 「意地悪?ううん、むしろ逆。どちらかと言えばいじめられっ子かな」 「それじゃ――」 「どうしようもない魔性なんだよ」 うっとりと目を細め 涼介さんは言った。 「それこそね、どんないい男も彼にかかればイチコロさ。男に人生のすべてを賭けて愛させるんだ。あらゆる手を使って引きずり込む――とてもつなく澄んだ底なし沼にね」 とてつもなく澄んだ 底なし沼……? 「それも、一度に罠にかかるのが一人とは限らない」 「え?」 誰もいないのに。 涼介さんはそれらしく声をひそめた。 「平均して2人――ないし3人ぐらいはいつも沼の底にいるかな」
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