第1章

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ねぇ。あなたは覚えている? 青い青い空、足の爪先まで透き通って見えるほどの透明な海、日本では一度も味わったことのない大気の軽さ。 私達が初めてここへ来たのは、2006年の6月のこと。 空港からバスに乗ってホテルへ向かう途中のこと。 「え。寒い!!ここって常夏の島じゃなかったっけ?」 「の、ハズだよなぁ~。エアコン効きすぎかな。来たばっかりで風邪ひくなよ、ひとみ。」 そう言って、達也はやる気満々で羽織ってたアロハシャツを私の肩にかけてくれた。 「あ、ありがとう、達也。」 あの時の私は、満面の笑みでそう返した。アロハシャツは半袖であんまり意味なかったけど、達也の気持ちが優しさが嬉しくて、不思議とあったかくなれたの。 それって俗に言うラブラブってやつ?! ホテルへ着いたら、中途半端なフライト時間でほとんど寝てない上に時差ボケでグッタリ。 初めてのハワイ!憧れのハワイ!だった。 青い青い海の見えるオーシャンビューな部屋。テンションマックスだった。 でも、ベッドに横たわった瞬間から夕方まで記憶なし。 目が覚めると、私の首の下に達也の右手。 私の腰に達也の左手。唇と唇が重なりそうな距離。一瞬で高鳴る私の胸。 付き合って、もう6年も経つのにいまだに私は達也に片思いしてるみたい。 私だけを見てて。全身で私を愛して。 決して口に出せない思いだけど。 こんな風に私が思ってるなんて、達也は想像してないだろうな。 重い女って思われたくないもん。 祈るように、まだまだ深い眠りの達也にそっとキスをした。 翌日。 沢山眠って元気になった私達はダイヤモンドヘッドへ。 運動不足を実感!な登山。 上に着いた時、吹き抜ける風が最高に気持ち良かった。 日本じゃ人前でイチャつかない達也も、旅の開放感もあってか、大胆に腰に手を回してくる。 「ひとみ。」 「うん?何?」 「・・・愛してるよ。」 日本じゃこんなこと言わないよね? ドキドキする。 ちょっと悔しい。 それから、ハワイでの一週間。 ベタだけど、ワイキキビーチ行ったり、アラモアナショッピングセンターに行ったり。そうそう!モアナルアガーデンで、“コノキナンノキ~♪”の大きな木に抱きついたり、そこの芝生で転がったり。
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