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「まさか」
「やっだぁ。私、ご主人とはなんでもないですよぉ? 疑ってますう? 宮原さん可愛そう……。家族のために一生懸命働いてるのに浮気を疑われるなんて。専業主婦ってヒマなんですね」
「あのね」
「キャハハ。私が遼平さんの妻になってたらそんなことはしないのに」
「ちょ……。ていうか私が専業主婦って何故知ってるの? そもそも今日の出張って本当に出張なの?? 遼平に会いに来たんでしょ!」
祥子はシャネルの鞄からタバコを取り出した。キャスターだ、銘柄が変わっていた。赤い口紅の唇でそれを挟むとジッポで火を付けた。バニラを思わせる甘い香りだ。
「あ……」
「どうかしましたぁ?」
遼平のスーツに染みついていたあの匂い、この匂いに近い。
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