第一章・ーあかないー

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 タイミングを見計らい思い切り人影を突き飛ばす。  電車の明かりに照らされて、人影の顔が初めて見えた。  ……? あの顔は。どこかで見たような。  けれども思考は瞬間で、すぐに消えてなくなると、電車が急停車する金切り声の悲鳴をあげる。  辺りは血にまみれ。これで邪魔者がいなくなったと、安堵して家路につく。  ーー何かが引っかかる。  心にわだかまりが残り、家に入って洗面所で顔を洗おうとして悲鳴をあげた。  嗚呼。そこには顔でなく空洞があるのみで、電車に轢かれたのは私で私が私を突き飛ばす。  これはループ。永久に、永遠に終わらない呪い。あいつが私を怨んで、呪って、そうして二度と死ねない身体と成った。  何度自分で自分を殺しても、線路が導きあいつが呪い、そうして私はこの家に喚ばれる。  まるで無限地獄の、解けない呪い。  誰か私に、この地獄から抜け出す方法を教えて下さいーー。  ほら、また。線路が私を、喚んでいるのです……。
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