第一章・ーあかないー

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 線路沿いの道筋に、廃屋があった。  いつも気になっていたのだが、朝は出勤、帰りはくたくたになっているのも手伝って、まじまじと見た事はない。  それに、廃屋とは私が勝手にそうしているだけであり、もしかしたら誰か住んでいるかも知れないのだ。  表札など確かめたいのだが、家はあるのに門扉らしい場所はなく、入り方が分からない仕様となっている。  夜は明かりも点らず、かといって草木が生い茂っている様子もない。  ただ時折、線路を走る電車の振動に従って、窓などががたがた揺れる様を見る。  ある平日、思い切って門扉を探してみる事にした。  あっちを見たり、こっちに行ったり。  どうしたって玄関は線路沿いに向かうドアの筈で、ならばそこになければ敷地内から出られないと思うのだが、一体どうして見付からないのだろう。
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