第一章・ーあかないー

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 一体この家は何なのだろうか。今まで疑問も抱かずにいたが……、否。疑問は常にそこにいたのに、何故か問題視もせず迂闊にもここまでやってきてしまったのだ。  床が軋む。私は歩きもしていないのだから、人影がこちらにきている事は明白で、逃げなければと思うのに動けない。  とうとう目の前まできたらしい。  きた筈なのに、暗闇に慣れた目でも存在は捉えられずに、なのに息遣いは鮮明に、そしてはっきりと聞こえてくる。  こちらを見ている。  視線を、感じる。  睨まれている。  いやだ怖い。  見るなよ。  見るな。  ゆらりと、肩に手を置かれた。  熱い。ちゃんとした人間のぬくもりで、何故そうされたのかすぐには理解らなかった。  段々と手に力がこもる。  ぎしぎしと、骨の音が聞こえてきても不思議と痛みは感じず、そしてまた、電車が線路を走るのだ。
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