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 「おばけさーん」  「――――――」  「おばけさんやーい」  「………………」  「おおおおおーーーーーーいいいいい」  「お前はいつもうるさいな」  「おうわっ!? おばけさん!」  「いつもいつも、ここに来るなと言われているんだろ?」  「おばけさんがひとりだとさみしいとおもって」  「いらんお世話だ。あと、何度も言ってるが、俺は『おばけさん』じゃない。『山童』というちゃんとした名前があるんだ」  「えー。かわいくないー」  「『おばけさん』も別に可愛くないだろう」  「そんなことないよ、うぇひひひ」  「大体、俺は一つ目だ。体もでかい。前にお前が言っていたのが可愛いということなら、俺には当て嵌らないだろう」  「ちょいや」  「なぜ叩く?」  「おばけさん! じぶんをわるくいっちゃだめ!」  「別に悪く言ったつもりは………、おい、お前。それ、なに背負っているんだ?」  「あ、きづいた? きーづいちゃったー?」  「………………、お前が変化に気付けと毎回五月蝿いからな」  「こーれはねー。ランドセル! 4がつからしょうがっこうににゅうがくするの。おとなのおねえさんみたい?」  「前にお前が言っていたのが大人ということなら、お前にはまだまだ早いようだな」  「うぇいや、うぇいや」  「なぜさっきより強く叩く?」  「おばけさんのばーか、ひとつめー」  「そうだな」  「おばけさんのぼくねんじーん」  「ぼくねんじん? どういう意味だ?」  「さぁ」  「お前は。母親の言っていたことをすぐに真似するな」  「うぇひひひ。おとなだからね。おとなとおなじことばもはなせるんだよ」  「話せてもその言葉の意味はわからないがな」  「でいや、でいや」  「痛い、痛い」
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