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「俺が、欲しい?」
佐知夫が頷くと、仰向けにされる。
「くっ……」
「入っちゃった」
「ん……」
圧迫感を逃すように、佐知夫が荒い息を吐きながらうっすらと目を開けると、伊織の顔が近づいて口づけられた。
「はぁ……ぁ……っ」
音が響くほど唇を吸われながら、ゆるゆると動きをつけられる。
「んんっ……」
自分の中に伊織がいる。身震いするような状況をダイレクトに感じたくて、佐知夫はまた目を閉じてしまう。
「佐知夫さん……だから目、閉じないで」
言われるまま、意識して目を閉じないようにすると今度はじわっと涙が浮かんできて視界がぼやける。生理的なものだけれど泣いてしまったみたいに見えて嫌だ。
それを拭おうとするとちゅっと伊織の唇で吸われた。
「目を閉じないで、佐知夫さん。俺だけ、見てて……」
もう、はずかしいとか、うしろめたいとか、どうでもよくなって、伊織の言葉にだけ従おうと思い、佐知夫はこくんと頷いた。
ずん、と突き上げられる度声にならない声をあげて、佐知夫は仰け反る。夢中で伊織にしがみつき、そして達した。
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