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「もう七年位経ってるよ、それから」
「だったら尚更ですね。かわいくて初々しい佐知夫さんを喰っていたわけでしょう」
「……」
「俺も……見てみたかったな……その頃の佐知夫さん……」
「はあ……?」
呆れて振り返ると、伊織はすうすうと寝息を立てて眠っていた。営業一課はいつも忙しそうだが、最近は新商品のPRが始まったので、いつにも増してハードなようだ。
それなのに最低でも週一回は必ず、伊織は佐知夫にショコラを差し出してくる。
伊織は触れても反応がない程、深く眠っていた。そっと腕を伸ばして伊織を胸に抱きしめてみる。いつも伊織がしてくれるように頭のてっぺんにキスをした。
――いつまでこんなふうに、伊織といられるのだろう。
恋人になってくれなんて言わない、ショコラもいらない、ただここに伊織がいてくれればそれでいい。
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