第1章

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「もう七年位経ってるよ、それから」 「だったら尚更ですね。かわいくて初々しい佐知夫さんを喰っていたわけでしょう」 「……」 「俺も……見てみたかったな……その頃の佐知夫さん……」 「はあ……?」  呆れて振り返ると、伊織はすうすうと寝息を立てて眠っていた。営業一課はいつも忙しそうだが、最近は新商品のPRが始まったので、いつにも増してハードなようだ。  それなのに最低でも週一回は必ず、伊織は佐知夫にショコラを差し出してくる。  伊織は触れても反応がない程、深く眠っていた。そっと腕を伸ばして伊織を胸に抱きしめてみる。いつも伊織がしてくれるように頭のてっぺんにキスをした。  ――いつまでこんなふうに、伊織といられるのだろう。  恋人になってくれなんて言わない、ショコラもいらない、ただここに伊織がいてくれればそれでいい。
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