第1章

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「主任、餃子の歴代パッケージ見つかりました?」 「あったよ」 「すみませんでした。俺が行くべきだったのに」  休暇中のスノーボードで足を捻挫した宍戸が、申し訳なさそうに近付いてくる。 「大丈夫だよ、お前はお前が出来ることをしてればいいから。これを応接室に持って行けばいいんだっけ?」  テレビ用の資料として、餃子のパッケージが納まっているファイルを応接室に持っていく。中では課長の宮田が来客の応対をしていた。 「お待たせいたしました」 「ああ、ありがとう」  宮田がにこやかに資料を受け取った。 「すみません。画像ではなくて本物のパッケージを見てみたかったものですから……」  テレビクルーのひとりが宮田の広げたファイルを興味深げに眺めて、これは懐かしい、などど感心している。佐知夫は一礼して部屋を後にした。  少しすると来客を終えた宮田が戻って来た。資料を戻しに行ってくると聞こえたので、佐知夫はその後を追いかける。 「お疲れ様です。課長、私が戻しておきますから」 「じゃあ、一緒に戻しに行こう」 「?」  資料を渡され、佐知夫がきょとんとしていると、宮田が歩きはじめた。仕方なく佐知夫もそれに続く形になる。 「テレビ、いつ放映されるんですか?」 「今回もだいぶ先になるんじゃないかな。でも冷凍餃子特集で数社の商品を紹介するって言っていたから、その中に入れたのはいい宣伝になるよね」 「そうですね」
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