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「課長、なんかすみません。怒りましたよね?」 「え?何を?何も怒ってはいない。」 「さっきから箸進んでないし、無言だし、これだから悟り世代はとか言われるんですよね…すみません。」 「いや、私はそういう風に思った事はない。片山君は、ちゃんと書類も綺麗にまとめられているし、何より技術をしっかり持っている。プログラミングは君がいないとここにいるみんなの頭が毎日沸騰するところだ。私はとても感謝している。」 とりあえず、自分が思っている好意とは別の部分での、模範的な回答ができたのではないかと自負している、この素晴らしい返しができたのではないだろうか。さあ、反応を見せてくれ。ありがとうございますと、そのキラキラした目で俺を見てくれ。 「嬉しいです…」 あれ?違ったのか?何が違ったんだ?今日は確か運勢は2位だったはずだぞ。直感勝負だと書いていたぞ。違ったのか? 「あ、片山君はその…」 「あの、前々から思ってたんですけど、何で佐々木の事は呼び捨てで、俺の事はその…そういう呼び方なんですか。」 今私は質問をされているのか。もしそうなら、その質問に答えを出す前に、君に聞きたい事がある。 何故、君の目には、涙が溜まっているのだ。 何故、君の頬は、そんなに赤く染まっているのだ。 何故、君の手は、小刻みに震えているのだ。 何故、君は、そんな顔をして、俺を見ているのだ。
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