もっと近くに感じたいから

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◇ 夕飯を食べ終えたあと、ソファーに並んで座りながら寛いでいた。 けれど、自然にごく普通に肩に腕を回してくるから、あたしは寛ぐどころかどきどきと心臓が活発に動いてしまって落ち着かない。 慎也さんと付き合っていた頃はこんな風にゆっくりする時間すらなかったから、どきどきはするけれど新鮮だなぁとも思う。 隣をちらりと見上げると、和泉さんは真っ直ぐにテレビを観ていて。 その横顔を見ていたら、そういえば……と口を開く。 「あの……」 「ん?」 「は、は、は……」 「くしゃみ?」 「……」 「玲夢?」 不思議そうにあたしの顔を覗き込んできた和泉さんから視線をはずして、もう一度口を開く。
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