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「きゃあ~、マジでー!?」
「悠亜さんっ、声が大きいですっ!」
社食でランチを食べながら和泉さんとのことを報告したら、斜め前に座っている悠亜さんが興奮気味に声をあげた。
慌ててそれを止めたけれど、時既に遅しで、いくつもの瞳がこっちに向けられている。
あんまり周りの人に知られたくないから、目立ちたくないのに。
悠亜さんには温泉で一度報告はしているけれど、ちゃんと付き合い始めたことはまだ言っていなかったからか、半信半疑だったようで。
けれど、今度こそちゃんと信じてくれたみたい。
そして目の前に座る紗羽さんに視線を向ける。
「え」
そしたら、なぜか紗羽さんは涙ぐんでいて。
「えっと……どうして、泣きそうなんですか?」
「え、まあ……うん、よかったなと思って」
そう言う紗羽さんに首を傾げていると、突然頭をくしゃくしゃっと撫でられた。
そんなことをする人は一人しか思い当たらない。
ちらりと視線をあげると、そこにはやっぱり予想通りの人がいて。
「よ」
「……和泉さん」
やさしく微笑んでいるその表情に、どきんっと鼓動が跳ねる。
「楽しそうだな」
「え、そうですか?」
首を傾げたあたしを前に、悠亜さんは興奮気味に、けれど周りには聞こえないようにと声のトーンは少し落としながら身を乗り出して口を開く。
「だって! 和泉さんと玲夢ちゃんがっ!」
それだけで言いたいことがわかったのか、和泉さんはくすりと笑う。
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