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放課後
7号館の研究室。
課題提出しに行く途中で足を止めた。
窓の外には雲一つない、澄み渡るオレンジ色とレモン色を混ぜ合わせたような空。
煌々と照りつける橙色の夕日が眩しい。
ここから見下す視線の先には、
新緑や青々とした夏の緑に囲まれたテニスコートが広がっている。
今日は金曜日でサークルのある日だ。
時刻は18時。
いつもなら既に先輩がコートに入っている時間帯。
滅多に人が来る事のない、屋上へと続く階段の最上階の踊り場を見上げ、
リズムを踏むように一段ぬかしで其処へと階段を上っていった。
両手に力を入れないと開かない硬い窓は、
開ける際にカラカラと古めかしい音を立てていた。
開けた瞬間、生温かい風に交じって新緑の澄んだ空気が頬を擽るように撫でていく。
窓の外。
遠くの方で笑い合う男女の声が微かに聞こえて、自分まで少し楽しい気分になってしまった。
窓枠に手をかけて
身を乗り出すようにつま先立ちになって首を伸ばした。
「---危ないよ、
そんなに乗り出したら」
突然聞こえた、抑揚のない声。
…
…
心臓が
一瞬止まったかと思った。
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