放課後

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高校の時。 付き合っていた大切な彼女が居たこと。 その彼女が自分のせいで酷い苛めや仕打ちに苦しんでいたこと。 元々体も弱く、精神的にかなり参った状態にまで追い込まれた彼女が亡くなった原因は自分にあるということ。 自分のせいで傷つけた彼女への後悔の念が今でも消えないこと。 一つ一つ、話してくれた。 … … 先輩は自分に好意を持った人と関わる事を恐れていた。 それは昔みたいに その相手を知らない内に傷つける事に繋がりかねないから。 だから自分への好意を感じた私に遠ざける素振りをしていたんだ。 誰かを特別に近づけない。 八方美人の哀しい王子様… … … でも。 私はそれでも、先輩の傍に居たいと思った。 「だからもう、…「だからもう、なんですか?」」 そこまで淡々と話して、自嘲気味に呟いた先輩の言葉を 私は遮って 「それが先輩が私を遠ざけた理由だとしても。 そんなの、勝手すぎます。 私の気持ちは一切無視じゃないですか…」 先輩に一歩また一歩、と歩み寄る…。 「最初に私に近づいてきたのは先輩ですよ? 強引に運動音痴の私を勧誘してきた癖に…」 「勝手に新歓コンパを私と一緒にサボった癖に。 翌日その事が親衛隊にバレテ、 裏庭に呼び出されて突き飛ばされて怪我させられて… ここまで巻き込んだ癖に…もういいって、 そんな…、そんな勝手に自己完結して突き放すのはズルイですよ! 私の気持ちを勝手に決めないでください!!」 先輩の胸ぐらを軽く掴んで至近距離で見つめると、 私の言葉に先輩の透き通った切れ長の瞳が大きく見開かれた。 先輩の気持ちは分かるけれど、それを受け入れたくない自分が居た。 悲しくて淋しくて… 表現出来ない気持ちが押し寄せて咄嗟に手が伸びていた。 端正な顔。 シュッと長い鼻筋。 形のいい薄い唇。 長めの前髪から覗く、切れ長の鋭い漆黒の瞳が私を見つめて……、 見……つめて…? 「………」 「………」 ...あっ、 と 気付いて、 急いで手を放して先輩と距離を取った。
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