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…やばい、と我に返って
今更ながら女子らしからぬ行動をしていたことを、反省する。
向けられている先輩からの視線が痛くて、背けるように背中を向けた。
「……すみませんでした。でも、
でも、私は先輩と一緒に居たいんです。」
「…………。え?」
「あ…違、あの、でも安心して下さい!
別に、私は先輩の事、好きだとかそーいうのじゃありませんから。
付き合いたいとか思って今のは言ったわけじゃないです。」
咳払いを一つ落として、クルリと先輩に向き直る。
「折角出会えたのに、
このままサヨナラだなんて寂しいじゃないですか?
だから先輩と友達になりたいと思いまして!」
そう言って困ったような笑顔を向けた。
「私、嫌いなんです。
先輩に好意を寄せる人を傷つけてまで
先輩の傍に必死でしがみ付こうとする人や
自分の幸せしか考えない人って。
…例えば、…そう。
今も、陰で聞き耳立ててる…そこの彼女みたいな人とか?」
…
…
階段のわきから顔を出した彼女の姿を見るや否や
先輩の瞳が大きく揺れた。
「---紗南?」
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