第1章

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国家が 力を失い。 企業が 大きな力を持つ、 近未来。 企業による、 企業間の争いが、 いつしか激化し、 民間人が巻き込まれる事態が発生するようになっていた。 これを憂いた国連は、 企業間の現実的戦争の禁止を取り決めた。 そうして、 その代わりに、 企業は、 プロゲーマーによる、 ゲームでの代理戦争を行うようになった。 その、 最高峰に位置したのが、 韓国の企業だった。 イ・ジョンギル。 世界随一のプロゲーマー。 彼は、 その実力で、 富と名声を思うままにしていた。 そんな、 彼の元に、 ある日、届いた 一通のメール。 「あなた、わたし、対戦望む。」 カタコトのハングルでそう記してあった。 差し出し元は、日本。 ハンドルネームはneko-nyan。 「ははは!」 ジョンギルはわらった。 「いいだろう。 『世界』の壁を、 思い知らせてやる!」 彼は、リンクを開いた。 「日本人ごときが、 俺の相手になるものか!」 明転する、画面。 その先に、 待ち受ける衝撃を、 彼はまだ、知らない。
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