秋色スカイブルー1 隼登-side-

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 夏は駆け足で走って行く。そして気まぐれに立ち止まる。秋に背中を押されながら再び嫌々走り出す。  色々あった夏休みが終わった。  1年の中でも“怒涛の”と表現した方がしっくりくるかもしれない夏だった。サッカー部の連中には内緒だが俺は藤澤と付き合いだした。  だけどどこが変わったという訳ではない。藤澤はサッカー部のマネらしく部員はみんな平等。俺に対しても特別扱いがない。そして決定的なのがサッカー部には休みというものが皆無なので、休みの日のデートなどという甘いトキメキさえない。  そして困ったことにそれに対して文句を言わないのが藤澤なのだ。二人きりで何かをするということが決定的に欠けていても文句が出ない。キスだって・・・あれっきりだ。  俺だって・・・男だから・・・その・・・そう言う欲求がないわけでもない。だけどサッカー部の帰りは常に航と行動が一緒なので二人きりになれないし、二人きりになってそういうことを強引にするのは気が引ける。  悪魔のような状況。
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