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俺が駆け寄ると俺に向かってもプイッと他所を向いたままだ。
「こっち見て。」
「やだ。」
「どうして?」
「二人のこと・・・祝福してるのに、うらやましいぐらいお似合いだと思ってるのに・・・こんな風に知りたくなかったって思う複雑な自分がいて・・・こんな顔・・・椎名君に見せるの・・・やだ。」
俺に背中を見せている藤澤の手を握った。
「俺はどんな藤澤でも受け止めるよ。他で泣くぐらいなら俺の胸で泣いて・・・。でも、俺はいろんな顔に藤澤が見れて、嬉しかったよ。」
今、俺がしてやれる最大限の優しさだ。
藤澤が上目使いのまま振り向いた。小動物のような目で俺を見る。こーゆー目・・・弱いよな・・・俺。
俺は抱きしめたくなる衝撃をぐっとこらえた。
俺のちょっと早いバースデープレゼントは終了した。こんなにゆっくりできるのはいつのことになるのやら・・・。11月の藤澤の誕生日?それとも12月のクリスマス。1月の正月。それはいつになるやら・・・俺たちにも分からない。
だけど今度は・・・俺がサプライズを仕掛ける番だ。そしてどんな藤澤でも俺は・・・受け止めるよ。
Fin
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