st.4

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「なに?」 「もう少し、ここにいよ?」 手を握り、後ろから肩に顎を乗せられた。 彼女の香りが濃くなり、うっすらと手に汗がにじんだ。 「紗世、また彼氏と喧嘩したでしょ。」 「・・律にはすぐばれちゃうね。」 紗世はモテる。 反抗期真っ最中なのか、家に帰るのも嫌がり彼氏の家に泊まるのは日常で。 別れたり、喧嘩した時には触れ合いが多くなる。 好きだからこそ、分かる彼女の行動。 「ねぇ律、一人暮らし早くしなよ。」 「そうなったら、うちにある荷物もって帰ってよ。」 紗世は必要な荷物をうちに置いてある。そこから必要なものをその都度持っていき、置いて帰るのだ。 「やだ。持ってく。」 この好意の見え隠れは、友達としてか、私の気持ちを知った上でか。 紗世のこうした台詞は今に始まった事ではない。 「高校まで、だよ。」 「律?」 「高校卒業するまでは、紗世と友達でいれる。」 ぎゅっと手に力が入ったのがわかった。 「親と約束してるから、卒業までは大人しくしとくって。」 「なにを?」
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