102人が本棚に入れています
本棚に追加
「秘密。でも、卒業したら紗世とは会えない。」
卒業まで後4ヶ月
今からなら言っても猶予もあるし、これぐらいなら言いだろうと勝手に思った。
親に自分のマイノリティを告白し、話し合った結果だった。
理解はしがたい。が、高校卒業したらもう止める事はしないから、好きに生きなさいと。
「私がいつまでもフラフラしてるから?」
「愛想、つきちゃった?」
的外れな不安で背中に抱き付いてくる紗世。
好きだからと言えたら、どんなに楽だろうか。
「違うよ。」
「ならなんで?」
「じゃあ一緒に住む?卒業したら。」
「うん。」
その迷いない返事にふらっと軽い立ちくらみを覚えた。
「・・彼氏、作らないって約束出来る?」
「・・・律がそばにいてくれるなら。」
あぁ、これはもう告白なんじゃないだろうか。
はっきりさせてもいいんじゃないか。
でも、もし行き過ぎた独占欲なら。ただの依存症なら。
怖くて、はっきりはさせれない。
「うん。」
今は、これで精一杯だった。
最初のコメントを投稿しよう!