102人が本棚に入れています
本棚に追加
~半年後~
「紗世-、お風呂沸いたよ。」
「はぁい。」
高校を卒業し、南に下ってお互い違う専門学校に通いながらルームシェアを始めて2カ月が経った。
律は、高校を卒業し、実家から出たからか、明るくなった気がする。
「今日は麻婆豆腐にしようと思うけど。」
「甘いなら食べれる。」
「甘口だよー。」
自炊も手慣れたもので、家事をすすんでする律。
するする、とキッチンに立つ律の腰に腕を回し抱き付いてみた。
「んー?どした?」
「・・・・一緒、お風呂入る?」
ぴた
そんな硬直する音が聞こえるぐらい、律の動きが止まった。
女同士だが、一緒に住もう、彼氏を作るな、この台詞は告白だと受け止めていたが、律はいっこうにキスさえしてこない。
今まで受動的な恋愛しかしたことのない自分は、これが不思議で堪らなかった。
(女同士でも性欲あるし、キスしたりエッチしたりするって書いてあったけど・・)
自分なりにネットで調べた知識を参考に、誘惑してみるが、まったく手を出してこない。
そもそも一緒のベッドで2カ月寝て、何も起こらないなんて事がありえるだろうか?
「先に入っておいでよ。」
「後から、来てくれる?」
「・・・・紗世・・。」
律は少し困ったように名前を呼び、くるりと振り返った。
最初のコメントを投稿しよう!