st.4

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~半年後~ 「紗世-、お風呂沸いたよ。」 「はぁい。」 高校を卒業し、南に下ってお互い違う専門学校に通いながらルームシェアを始めて2カ月が経った。 律は、高校を卒業し、実家から出たからか、明るくなった気がする。 「今日は麻婆豆腐にしようと思うけど。」 「甘いなら食べれる。」 「甘口だよー。」 自炊も手慣れたもので、家事をすすんでする律。 するする、とキッチンに立つ律の腰に腕を回し抱き付いてみた。 「んー?どした?」 「・・・・一緒、お風呂入る?」 ぴた そんな硬直する音が聞こえるぐらい、律の動きが止まった。 女同士だが、一緒に住もう、彼氏を作るな、この台詞は告白だと受け止めていたが、律はいっこうにキスさえしてこない。 今まで受動的な恋愛しかしたことのない自分は、これが不思議で堪らなかった。 (女同士でも性欲あるし、キスしたりエッチしたりするって書いてあったけど・・) 自分なりにネットで調べた知識を参考に、誘惑してみるが、まったく手を出してこない。 そもそも一緒のベッドで2カ月寝て、何も起こらないなんて事がありえるだろうか? 「先に入っておいでよ。」 「後から、来てくれる?」 「・・・・紗世・・。」 律は少し困ったように名前を呼び、くるりと振り返った。
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