st.4

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身長が同じな分、振り返られると顔が急接近する。 後数センチで重なりそうな唇。 「後から行くから。」 ぷにぷにと唇を指で押され、律は微笑んだ。 ここは、キスでしょ?! なに?この甘い雰囲気! ドキドキする胸が伝わらないよう、慌てて浴室へ向かった。 触れた唇が熱い。 「私、こんなうぶだっけ?」 困惑する頭にシャワーをあけた。 キスもセックスも経験はある。同世代よりも。なのに、こんなにドキドキするのは律だけで。 高校時代、彼女の家で眠いからと初めて膝枕してもらった時には、あまりの居心地の良さに自分だけのものにしたくなった。 勉強している横顔を見つめながら、彼女の匂いがする布団に入り込み、体が疼くのを覚えた。 抱き付けば引き剥がさない彼女に甘え、自分のものだと周りにアピールして牽制した。 思い返せば思い返すほど、律の事ばかり考えていた高校時代に恥ずかしくなった。 「これって、かなり好きだったわけ、よね?」 がらがら 水音で気配に気付かなかった。 裸の律に声にならない悲鳴のような驚きを覚えながら、湯船に慌ててつかった。 「紗世、まだ泡ついてるよ。」 首元から肩にかけてお湯を手でかけられ、思わず律の顔をじっと見つめてしまった。 今、自分の顔はよほど物欲しげなものになってるに違いない。
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