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(これは、どうしたらいいものか)
律は熱い視線を送る紗世を背に、髪や体を黙々と洗った。
一緒に暮らして2カ月
彼女からのアピールに気付かなかったわけではない。
わざとノーブラで抱き付いてきたり、肌の露出の多い服で寝たり、家にいる時は常に隣にいる。
「おいで、紗世。」
湯船につかり、手を広げればいそいそと彼女は足の上に乗りかかってきた。
しかし、いざこうやって近付けば彼女はとても恥じらい、手を出しにくくなるのだ。
あったまり、血行の良くなった唇を再び人差し指でぷにぷにと押せば、くすぐったそうに震える紗世。
あの大人びて、どこかいつもつまらなそうな彼女はおらず、まるで少女のようだった。
(いけない大人になった気分)
汚してしまうのではないか。そんな気持ちになり、これ以上の関係に進むことに足踏みしてしまっている。
「紗世・・私、誰かと付き合うのって初めてなんだよね。」
「え?う、・・、うん。」
「だから、その、教えてよ。そろそろキス、してもいいものかな。」
かぁぁ
2人とも顔が赤くなるのが分かった。
「ぃぃ、と思う・・。」
ああ、可愛い。
小さく耳元で呟く彼女の顎を軽く指で持ち上げ、軽く、軽く
触れるだけのキスを一度交わした。
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