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「タイミング、ずっと分からなかったの?」
1度キスすれば気持ちも落ち着き、機嫌よく飲み物を片手に律に紗世は聞いてきた。
「デートもしてないのに、手を握るからのキスのステップがどうにも、ね。」
あれ?律ってこんなに真面目だった?
「そもそも、ちゃんと告白してないから、付き合ってるのかも自信なかった。」
スキル真面目
うん、そう上書きしとかなきゃ。
紗世は少し節目がちの律の頭を撫でた。
まだ乾いてないそのしっとりとした髪が、心地よい手触りでつい頬刷りしてしまう。
「好き、だよ。知り合った時から、ずっと。」
「うそ!?」
「ん?」
「そんな、前から?全然私に興味なさそうだったくせに!」
思わず肩を掴み、揺さぶると怪訝そうに律は眉をひそめた。
「高校卒業するまで同性を好きって事は公にするつもりなかったからね。」
それにしても!
つまり、ずっと律は私の事が好きで。でも私は他の男にフラフラしてて、その度に律に話してて。
無意識に凄く傷つけてたんじゃ??
今さら自分の浅はかな行いに後悔しても遅かったが、紗世は目も合わせられないくらい申し訳なかった。
「私・・最低。」
「・・・でも、紗世が初恋ではない。」
「・・・・それは、それで、なんか悔しい。」
正直な気持ちがポロリと口からこぼれた。
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