ごっこ

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「私、今年で27になるんですけど、確かに恋人いた事ないんです。同性しか好きになれないのも、原因なんですけど。」 はは、と苦笑いし、渚は真っ直ぐみつめてきた。 「こんな綺麗な人と付き合ってるんだって自慢出来たら、自信つきます。もう引っ越しますし、最後に良い思い出作りたくて。」 「分かりました。あなたのこと、大好きな恋人として全力を尽くします。私の事は伊織と呼んでください。私は渚さんと呼びます。」 「さん付け、ですか?」 「その方が尽くしてる風ですから。」 そうなんですね。 納得しながら渚は頷く。 カフェを出てすぐ腕に巻き付けば、ぼっと耳まで赤くなった。 「い、いま、からですか?」 焦る彼女が可愛くてついつい胸を押し付けると、俯いてしまった。 「雰囲気は作っておかないと。赤くなりすぎですよ。」 「これ、想像以上に恥ずかしい・・。」 顔を片手でかくし、緊張して固くなる彼女が可愛くて、思わずキスをしたくなった。 こんな初な反応は初めてで、しかも下心のない純粋な照れはさらに好きになってしまう。 うん、良い感じに役に入り込めてる、私。 満足しながら彼女の顔の赤みがひくまで、ブラブラと歩いた。
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