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向日葵は、昔からどこか苦手だった。
真っ直ぐに立つ背、そのくせ花の重みで垂れてしまう棘のある茎。
けばけばと毛の生えた分厚い葉。
そして、色彩や形状だけを真似るだけでは飽き足らないかのように、一心に太陽を追いかける花。
それにも関わらず、ぽかんと口が開いたように間抜けな、何の憂いも無いように輝くイエロー。
太陽神アポロンに焦がれたという神話を思い出すまでも無く、頑健なくせに一途な花が、苦手なはずだった。
久慈章輔が三崎花を見たときに、真っ先に連想したのは、真夏の陽光の下に輝く、その太陽の花だった。
あっけらかんと明るく、迷い無く突き進んでくる彼女のことも、初めは苦手だった。
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