1032人が本棚に入れています
本棚に追加
「先生……」
ようやく唇を開いた花に、久慈が笑う。
「それから、花さん。そろそろ先生と呼ぶのは、やめましょうか。もう、あなたの先生ではないわけですし」
「でも……先生だよ?」
「そうですが」
苦笑して俯いた久慈の頭を、さらりと洗いざらしの髪が流れる。
浴衣から、いつもは見えない鎖骨が、覗いていた。
「久慈先生?」
「はい」
久慈が、困ったように笑って、顔を上げた。
そんな表情でも、きちんと返事をしてくれる。
最初のコメントを投稿しよう!