ダイヤモンド・リリーは涼風の瞬き

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「先生……」 ようやく唇を開いた花に、久慈が笑う。 「それから、花さん。そろそろ先生と呼ぶのは、やめましょうか。もう、あなたの先生ではないわけですし」 「でも……先生だよ?」 「そうですが」 苦笑して俯いた久慈の頭を、さらりと洗いざらしの髪が流れる。 浴衣から、いつもは見えない鎖骨が、覗いていた。 「久慈先生?」 「はい」 久慈が、困ったように笑って、顔を上げた。 そんな表情でも、きちんと返事をしてくれる。
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