ダイヤモンド・リリーは涼風の瞬き

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そう呼ぶ度に、先生と呼んでいた時より、距離が縮まる気がした。 久慈がいる。 触れてくれている。 誰よりも近くに。 もしかしたら、自分よりも近くに。 そう思うけれど、遮るものが何も無くなると、心細さが襲う。 触れられたことの無いところを触れられ、経験したことのない感覚に怯える。 でも、それさえも、晒したい。 互いの肌だけでなく、その内側だけでなく、心までも隅々まで、久慈になら晒してみたい。 (見て。私を) 知って、認めて、選んで。 そう願う自分が、吾亦紅のようだと言うなら、それでいい。 久慈が、見つけてくれるなら、それで良かった。
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