ダイヤモンド・リリーは涼風の瞬き

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「花」 誰よりも大切にしたくて、誰よりも優しくしたいのに、誰よりも壊してしまいたい。 名前の通り、花が咲くように笑う彼女を、抱き締めて、囲って、閉じ込めたくなる。 大事に、大事にしてきた彼女の、皮を剥ぐように、素肌を晒していく。 指で刺激し、舌で味わい、誰にも見せたことの無い姿を露にしていく。 凶暴な想いを必死で抑え付け、震えるほどそっと、触れた。 決して怖がらせたくない。 痛がらせたくもない。 そんなことをするなら、いっそすべて諦めてしまいたいほどなのに、その姿さえ見たいという、相反する思い。
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