第2章 おわり

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その知らせが入ったのは、シュークリームを食べ終えて、みんなでこれからご飯でも食べに行こうかという話をしていたときだった。ユーキくんの携帯が鳴った。 「うん。お疲れさまです。搬入の作品確認終わったんですね?うん、そう、やっぱり恵麻さんには二つ買っておいて正解でした、くくく」  いつもより優しいその声は、芽衣ちゃんに向けられたものだとすぐにわかった。 「えっ、僕の作品?送ったはずですが。はい、探してみます」  ユーキくんは携帯を切ると、和洋中どこのお店にするかで盛り上がっている学生たちに呼びかけた。 「美術館班が、搬入された作品をチェックしてるんですが、僕の作品だけないそうです。どこかに積み忘れてないでしょうか」 「マジか」 「俺、上まで見に行ってくる」  学生たちは、トラックに積み込みをした絵画棟の裏をあちこち探し始める。 「まだトラックに入ってるんじゃない?」  瑞樹さんが、ブルーシートを裏返しながら言う。  ユーキくんは繰り返す。 「それが、トラックの中は何度も探したそうです。向こうはこっちの積み忘れだと思ってます」 「ユーキくんのだけ、ないの?」  ユーキくんに話しかけると、ユーキくんがうっすらと汗をかいているのに気がついた。 「そうらしいです」
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