プロローグ

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古ぼけた一枚の白黒写真 白髪の老婆はその写真に向かってそっと手を合わせた 仏壇に置かれたその写真に写るのは まだ幼い男の子が一人立ってる姿なのだが 何か様子が普通と違っている 決してお世辞でも可愛いと言えない男の子 彼の顔はまるで狂い気に満ちた表情をしていた 頭にはこぶの用な膨らみがあり眼光が鋭く光っている 本人は笑顔をつくっているつもりなのだろうが普通の人間がこの写真をもし見たのなら 誰もが口を揃えてこう言うだろう 「オニだぁーっ!」 「!!!!」 老婆の肩がビクンと跳ね上がった 「アハハ!オニが来たぁーっ!」 「ワァーイ!オニがくるぞぉーっ!」「キャーッ」 老婆の住む屋敷の外から子供達の声が響いた 窓の外の空き地では子供達が手を繋いで元気に走り回っている 「鬼さんこちら手の鳴る方へ」 「鬼さんこちら手の鳴る方へ」 パンッパンッパンッ 子供達が手を叩いている先には一人の男の子が両手に女の子を二人連れて一緒に駆け回っている しかし老婆の眼に写ったのは違っていた それは狂乱な化け物が人間の子供の手を引き屋敷の外の空き地を駆けずり回る恐ろしい光景だった
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