第十二話 『ワタシ達のなつやすみ!』

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その後、タオルをマントのように装着し遊ぶセシルや、男達にナンパされあたふたしながら断るする紬と、ズバズバとクールに断る咲華が対照的で面白かったとセシルは笑っていた。 夕方になる前に帰ろうと着替えを済ますが、帰り道にセシルが寄りたいところがあると言う。 どんな所かと尋ねたら 「ハシリヤのステージですっ!近場にあるので折角だから行ってみたい思いますがイイデスカ?」 ...それは私も興味があると咲華は了承する。 咲華の顔つきが若干変わった(通常では分からない)ことが紬には分かったが、何処へ行くのかイマイチ良く分かっていない。 S2000のナビシートに乗り込み運転する咲華の横顔を眺めつつ、海から約20分の目的地へと移動。 ***** 「さ、咲華ちゃん...ここって走っても大丈夫なの...?」 「大丈夫だよ...事故ったりはしないから...」 S2000に乗ったのも初めてだが、走り屋のステージに来たのも初めてな紬は分からないことだらけだった。 前を行くセーブした走りのエリーゼを、こちらも五割程の力で追いながらコースの確認をする。 「旧・柳峠跡」 既に通常道路としては使われていない峠跡地。 路面は荒れに荒れて至る所に先の見えないコーナーが存在する。 何よりも勾配差が凄まじいことで有名で、特に下るときはジェットコースターのようにストンと落ちる感覚が味わえる危険な場所である。 凪野ロードも傾斜が激しかったが、この峠の下りはそれ以上に酷い有様である。複合コーナーやヘアピンも配置されており、特に下りはブレーキタイミングが重要になりそうだ。 閉鎖されているので一応走り屋のスポットなのだが、非常に厳しい勾配差により攻めるのは危険と見なされ一部の怖いもの知らずくらいしか利用していない。 街灯も無く夜は特に危険とのことで昼~夕方に一部の者が走る...さらに心霊情報までも噂されている。
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