第十二話 『ワタシ達のなつやすみ!』

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「わっ!!凄い車の動き...本当にセシルさんギャップがあるね...」 「いや...あの人はなんか...特別って言うか...怖いもの知らずって言うか...」 この前走ったことを思い返すと、頭のネジが飛んでいるかクソ度胸があるかのどちらかとしか思えてならない。 ...鹿耶峠の下りを一本も走ってないのに、全開バトルをしたことがある咲華が言えることではないのだが。 ―――その時後ろから別のエンジン音が近づいてきた。 こんな峠に誰かが?とスピードを極端に落として道路端へとマシンを寄せる。 セシルも気が付いたようで同じようにマシンを道路端ギリギリに寄せる。 後ろから...黒の70スープラが高いスピードで二人を追い抜き走り去っていく。 遅れて白い70スープラも二人を追い抜いていった。 「...バトルしてるの...かな...?」 それにしては何か違和感があった。 ***** 柳峠の広間まで走り終えると先程の二台のスープラが停まっており、ドライバーと思わしき二人の男がなにやら言い争っている。 「俺の勝ちだな、約束通り5万寄越しな。ホラッ!」 「そっちが無理やり走れって言ったんじゃないか!金なんて渡さないぞ!」 「るせぇ!お前が負けたことには変わらねぇだろうがっ!別に10万寄越してもいいんだぜっ?」 「こ、断るねっ!首根っこ引っ張られてバトルさせられて何でお金を渡さないと行けないんだよ!...」 「んだとぉ...?二度と車に乗れない身体にしてやろうかてめぇ...」 大柄な男は拳を鳴らしながら小柄な男を威嚇しており、小柄な男は諦めて財布を取り出し万札を五枚...渡した。 ...どうも黒いスープラの大柄な男が、白いスープラの小柄な男から金を取ろうとしているらしい...それも無理やりバトルをさせられて。 放って置いても良かったが同じ走り屋、それも弱いもの虐めのような状況だ。 流石にあまりにも酷いと思い咲華が目を細め男達に声を上げる。 「...ちょっと...」
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