0.私からは羊毛は採れませんよ、ご主人様。

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「申し訳ありません、ご主人様。こちらの泥饅頭をということでしょうか?」 未熟な執事ならば顔が引きつるところでしょうが、動揺など片腹痛しでございます。 「え、どろまんじゅう?これはおだんごだよ~。だから食べれるの!」 良い笑顔ですねご主人様。 「わかりました。ご主人様の手作りお団子。僭越ながらわたくしが食べさせて頂きます。」 そっとお団子こと泥饅頭を手に取り口に運びます。 「まったりとしていて、それでいて濃厚なカカオのコクと薫り、たいへんおいしゅうございます。」 最高級ガーナ産ですね。すばらしいお味です。 「いやいやいや、おかしいだろ!!!?」 近くに潜んでいた旦那様がたまらず叫び出しましたね。 「おや、私に『ご主人様の前では口に出すのもはばかられる題名の本』の処分をお申し付けになった旦那様、そんなところで何をされてるんですか?」 「ぐはっ」 あっ、吐血は止めて下さい。ご主人様にかかってしまいます。
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