第1章

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地下鉄の種類はセントラル・ライン、メトロポリタン・ライン、ジュビリー・ライン、ノーザン・ライン、サークル・ライン、ディストリクト・ライン、ビクトリア・ライン、ベイカールー・ライン、ピカデリー・ラインなど豊富である。 電車がホームに止まり、ドアが開くと、「Mind the gap!」(ホームと電車の隙間に気をつけて!)という構内アナウンスがどこへ行っても必ず流れる。一つ、不思議に思ったのは、朝のラッシュ時、チューブの中は空いていて、奥へ詰めればまだ人がいっぱい乗れるのに何故かドア付近のスペースにしか乗らず、それ以上、奥へ詰めないのである。詰め込むだけ詰める日本のラッシュアワーの風景と明らかにそれは異質だった。ホームで待っている人々もそのことに対して別に不満を言うわけでもなく、当たり前のような顔をして、その電車を見送り、次の電車が来るのを待っているのである。不思議で仕方がなかった。余り過度に他人と接近するのを嫌がっているようにも見受けられた。思うに人との距離をある程度保って置き、それ以内の距離感は自分のプライバシーを守っておきたいのだろうと私なりに解釈をした。 この地下鉄が乗り越し清算が利かず、乗り越しをすると10ポンドのペナルティを課されるという事実を知ったとき、(融通が利かないな。)と思った。実際、ロンドンの地下鉄はサービスが悪いことにかけては有名である。 地下鉄の話を続けよう。この地下鉄、私が在勤中、帰宅のラッシュアワー時に地上から切符売り場に降りる階段の入り口を、何の前触れもなく、いきなり全て閉鎖してしまったことが何度かあった。
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