再会

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会議室で話した6月から暫くして、麻美は私に謝ってきてくれたのだ。私はあの日の麻美の言葉が、今も忘れられない。 「彩七を責める2人を見ててね。彩七を責めているのと同じ事……それ以上に酷い事をしているだって気づかされたの」 麻美は私から視線を逸らすことなく、はっきりとそう告げてくれた。 実はこうして話しかけてくれる以前に、不思議に思うことがあった。舞子と千香はよく一緒に居るけれど、私が気付く頃には、麻美と2人の間には確かな距離が出来ているように見えていたから。 それは、いつ頃からだったんだろう? と振り返った時にふと思い出した。 舞子達と話した時、麻美は私を責めることをしなかった。2人の言葉に同調することもなければ、一言も発することなく、黙ったままその場で繰り広げられる話に耳を傾けていた。 「本当は私も、彩七の八方美人のところ好きじゃなかった。舞子達の言う通り、彩七がニコニコして引き受けた幅寄せは、こっちにも回ってくるのにって思っていたから。 ……でも、あんな風に虐めるような態度で攻撃するのは違うって思ったんだ」 麻美が本心を見せてくれた言葉は、本当に嬉しかった。
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