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「僕…あれからずっと考えていたんです。それで、あの…」
ルシアが辛抱強くロイを見つめている様子が目に浮かぶ。
「ええ。答えは見つかった?」
しばらく沈黙が続いたあと、ロイの囁き声がした。
「シアは、どうしてそんなふうにしていられるんですか?」
「そんなふうって?」
「人と違うのに、ふつうに…何でもないってふりを」
ルシアの軽やかな笑い声が響いた。
「私のことをそんなふうに思ってたのね」
「ごっ、ごめんなさい。僕、帰ります」
「待って。私の話を聞くまでは帰さないから」
衣擦れの音にルシアのため息が続いた。
「長い話になっちゃうんだけど。私ね、小学生のころ好きな男の子がいたの。スポーツ万能でかっこいい子だったんだけど、ある日、その子に言われたの。おまえの髪、何でそんな変な色なんだって」
「でもシアは平気だったんですよね」
ルシアの小さな笑い声が聞こえた。
「そう思うでしょ。それがそのときはショックで、次の日、学校を休んじゃったの。たった一言で百年の恋も冷めちゃった。今、思えば大したことじゃないのにね」
「じゃあどうして、平気になったんですか?」
急にルシアの声が哀愁を帯びた。
「私には弟がいるの。あの子も私と同じように髪の色が淡いけど、一度だってそのことを恥じたことはない。きっとつらい思いをしたこともあるはずなのに、いつだって自分の髪を自慢にしてた。あの子、いつも言ってたの。この髪を馬鹿にする奴は、羨ましいんだって」
「それで彼は?」
「ちょうどあなたと同い年でね、この髪のおかげで女の子にモテモテなんだって自分で言うのよ。あの子、お調子者だから…。実を言うと、あなたをあそこから助け出したのはあの子と同じ歳だったからなの。あの子のことを思い出して、それで…ごめんなさいね、ロイ」
鼻をすする音が聞こえた。
ルシアは泣いているのか? 胸が罪悪感で締め付けられる。
ルシアは家族と突然に離ればなれにされたというのに、わたしは彼女をそばにいさせることしか考えていなかった。
「だとしてもかまいません。あなたは僕を救ってくれた…でもあいつは、僕のことを怪物だと言った」
「あんな奴の言うことなんて気にしちゃだめ」
ルシアのかすれた声がすかさず答えた。
「父さんも母さんも僕を恥じていた」
「ロイ、ごめんなさい。でもあなたの親は馬鹿よ」
「僕は親に捨てられた」
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