*ある雪の日の*

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もやもやとしながら歩いていると、徐々に降り積もった雪の上で倒れている人がいることに気付いた。 「大丈夫ですか!?」 「うぅ…うぁぁぁ」 近寄ってみると、20代くらいのOLのような女性がうめき声をあげていた。 「これ…何本に見えますか!?」 俺はピースをして彼女に見せた。 これは…医療ドラマなどで良く見かけるから、やってみた。 「ぅ…20本…ょね?」 俺を見上げて彼女はそう言った。 俺は…傘を落とした。 《10倍に見えちゃってるよ!これはやばい!!》 彼女にとてつもない危機感を感じた俺は直ぐに救急車を呼んだ。 「救急車呼びましたから!そこの公園で休みましょう!」 スマホの時計を見ると8時38分だった。 このままだと明らかに遅刻する。 だからって…こんなに苦しそうな人を放っておけるか! 「あのね…妊娠してるの」 「えっ!?」 そう言われて彼女の下腹部を見ると 確かに命の重みがあった。 《臨月って訳では無さそうだな…早期出産か!?》 「大丈夫です!ほら…ひっひっふー」 体に雪を積もらせながら彼女を励ましていると、直ぐに救急車が到着した、 「では…お願いいたします」 「大丈夫だよもう。君…とても優しいね。遅刻しないようにね。」 救急隊員の人にそう言われて再び時計を見ると…8時50分を指していた。 9時までに着かなければ遅刻だ! ちなみにここから学校までは20分くらいかかる。 《だめだ…遅刻確定だな》 《でも、妊婦さんを助けられたし…よかったな》 歩きながら微笑んでいた。 すると 突然 何故か俺の真横でバイクが止まった。
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