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「へぇ……ここが〈虹刻学園(コウコクガクエン)〉かぁ……」
目の前にある大きな門の向こう側、堂々と鎮座している校舎を見ながら僕――夜霧 翔華(ヤギリショウカ)はため息を吐いた。
理由は凄く簡単だよ?
「正直、転校なんてしたくなかった……」
これに尽きるよ。うん。
僕は伸びをしながら近くにあった塀を見上げる。
「まぁ、そんな事言ってられないかぁ~ ……どうやって入ろうかな?」
普通の転校生だったら、ここで何も考えずに塀を超えちゃうんだろうけど……
え? 何でそれを知ってるかって? それは内緒♪
あ、僕は腐男子とかじゃないからそこんとこよろしくね?
「ちゃんとインターホンあるんだ……」
ピンポーン♪ ……シーン
「…………」
ピンポーン♪ ピンポピンポーン♪ …シーーン
「……仕方ないか。それじゃ、失礼して……跳び越える★」
こんな手、本当は使いたくはなかったけどね? チャイム押しても出ないから仕方ないよね?
「いっちにぃさーんしぃ~ ごーろっくしぃちはーち……っと」
伸脚に屈伸、前後屈にアキレス腱♪ ……ん? 何してるかって? 見ての通り体操だよw
だってさ~、ここに来るだけで疲れちゃってるからさぁ……解さないと、飛び越えられないよ?
「準備OK! それじゃ……」
軽く下がって……
「翔華、行きまーす!」
自分に気合を入れる感じで言うと、走り出した。あ、この台詞どこぞのロボットアニメみたいだw
助走をつけて……jump!
シュタッ
「着地成功♪」
塀の向こうに広がる芝生に音をたてずに着地した僕。わぉ、簡単に飛び越えれちゃったよ?
「この学園、安全なのかなぁ……凄~く不安なんだけど……」
超えてきた塀を振り返って見ながらそう呟いた、その時
「勝手に飛び越えてきた貴方に言われたくはありませんよ」
「!?」
急に僕以外の声が聞こえて慌てて正面を見る。そこに居たのは……
「……イケメンか」
綺麗で長い黒髪を風に靡(なび)かせながらこちらを見ている人。って言うか、どー見ても先輩だよね……
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