第1章

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「え……。ルームメイト?」 シャワーを浴びたヨシが、頭にバスタオルをやりながら、目を見開いて私を見た。 「ヨシ、毎日ようにここに来て色々やってくれてるし、出店するのが目と鼻の先だったら、今のアパートから往復するより便利になるでしょう?」 「それって……」 ヨシの表情がなんだか、パァーっと明るくなったような気がしたから、誤解されたかも……と慌てた。 「あの、関係は今まで通りだからね?」 念を押してそう言うと、ヨシが「なんだ驚いた」と肩を落として私の隣に腰かけた。 「ミユキがてっきり、オレに発情して抱かれたくなったのかと思った」 ヨシはニヤリと横目で私を見る。 「ばっ……!何でそーなんのっ!?」 ヨシの発言に驚いて耳まで真っ赤にさせる私。 ヨシはケタケタ愉快そうに笑う。 「だって、さっき物欲しそうにオレを見てたから。そろそろミユキも溜まってきたんじゃないかと思って。」 「ちょっ……変な言い方しないでよー。盛りの男子じゃあるまいし」 「オレは盛りの男子だから、溜まってるけど」 「…………」 「大丈夫。ちゃんと抜いてるから」 「…………」 私はヨシの顔が見れなくて、手元にあるクッションで顔を隠した。 「でも、さんきゅ。ミユキがそう言ってくれるなんて嬉しいわ。ミユキの為に色々尽くした甲斐があったなー」 しみじみ言うヨシをクッションから顔を覗かせて、 ジロリと睨む。 「ちょっと!甲斐甲斐しくやってくれたのは打算的だったんだね」 「人間、打算的にやらない事なんてないと思うけど?」 「…………」 でも、実際、ヨシに助けられてるのは事実だし、頭が上がらない。 「ま、いいや。ヨシの事受け入れられるように、私も努力したいから」 「それって、無理矢理な言い方だな」 「そんな事ない。ヨシをまた好きになれたらって思ってるし。」 「…………」 ヨシが黙って私を見ている。 しばらくするとヨシの腕が伸びてきて私を両腕で包んだ。 ボディシャンプーの柔らかな香りが鼻を掠める。 「また、オレを好きになって……」 ヨシの掠れる声が切なく耳元で響いた。 やっぱり……男の人の温もりって安心してしまうな。
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