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「え……。ルームメイト?」
シャワーを浴びたヨシが、頭にバスタオルをやりながら、目を見開いて私を見た。
「ヨシ、毎日ようにここに来て色々やってくれてるし、出店するのが目と鼻の先だったら、今のアパートから往復するより便利になるでしょう?」
「それって……」
ヨシの表情がなんだか、パァーっと明るくなったような気がしたから、誤解されたかも……と慌てた。
「あの、関係は今まで通りだからね?」
念を押してそう言うと、ヨシが「なんだ驚いた」と肩を落として私の隣に腰かけた。
「ミユキがてっきり、オレに発情して抱かれたくなったのかと思った」
ヨシはニヤリと横目で私を見る。
「ばっ……!何でそーなんのっ!?」
ヨシの発言に驚いて耳まで真っ赤にさせる私。
ヨシはケタケタ愉快そうに笑う。
「だって、さっき物欲しそうにオレを見てたから。そろそろミユキも溜まってきたんじゃないかと思って。」
「ちょっ……変な言い方しないでよー。盛りの男子じゃあるまいし」
「オレは盛りの男子だから、溜まってるけど」
「…………」
「大丈夫。ちゃんと抜いてるから」
「…………」
私はヨシの顔が見れなくて、手元にあるクッションで顔を隠した。
「でも、さんきゅ。ミユキがそう言ってくれるなんて嬉しいわ。ミユキの為に色々尽くした甲斐があったなー」
しみじみ言うヨシをクッションから顔を覗かせて、
ジロリと睨む。
「ちょっと!甲斐甲斐しくやってくれたのは打算的だったんだね」
「人間、打算的にやらない事なんてないと思うけど?」
「…………」
でも、実際、ヨシに助けられてるのは事実だし、頭が上がらない。
「ま、いいや。ヨシの事受け入れられるように、私も努力したいから」
「それって、無理矢理な言い方だな」
「そんな事ない。ヨシをまた好きになれたらって思ってるし。」
「…………」
ヨシが黙って私を見ている。
しばらくするとヨシの腕が伸びてきて私を両腕で包んだ。
ボディシャンプーの柔らかな香りが鼻を掠める。
「また、オレを好きになって……」
ヨシの掠れる声が切なく耳元で響いた。
やっぱり……男の人の温もりって安心してしまうな。
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