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最初の頃は一人で我が子を育てて生きていく!なんて、意気込んでたけど、強がりだったんだなぁって思う。
ヨシに頼ってばかりだし、
ヨシの腕の温もりを居心地いいと思ってしまう。
ヨシの唇が耳たぶに触れて……。
その感触を感じると胸はトクントクン…と鼓動を打ち始める。
もう、避ける事はしなかった。
本当にヨシの気持ちを受け入れたいと思ったから。
唇は首筋に移動して、ヨシは私の頬を両手で包み込んで、
ヨシの唇が私の唇に……触れた。
そして、すぐに離れた。
「ここまでだな……」
ヨシが脱力しながら、私をもう一度胸に包み込む。
ヨシの温かい胸が私の右頬に触れる。
早く打ちつけるヨシの鼓動。
「こうやってずっと触れたかった。
ミユキにまた、拒絶されたらどうしようって思ったけど。
ミユキも少しずつ頑固な性質が削がれてきたな。
母親になるからかな?」
「頑固頑固って……。私だって、変わるんだよ。昔みたいになんでも自分でどうにかするって我はなくなったの」
「ハハッ。頑固じゃないミユキもミユキらしくなくて調子抜けだけど。
でも、今となっちゃ、オレには有り難い。
こうやって抱きしめられるんだから」
ヨシはまた横からギューっと抱きしめてきた。
「もう離して。 お腹が張る」
私が頬を膨らませてヨシを睨むとヨシはパッと私から離れた。
「ごめん」
調子に乗りすぎたと反省し、私の機嫌を損なわせたくない様子のヨシ。
「じゃあさ……。お言葉に甘えて、引っ越しの準備しちゃっていい?」
「うん……。私、たいしてお手伝い出来ないと思うけど」
「ミユキはいつ赤ちゃん産まれるか分からないし、何もしなくていいから」
ヨシの視線が私のお腹へと注がれた。
「触っていい?」
「どうぞ」
ヨシの手が伸びてきて
私のお腹にヨシの手の平の体温を感じる。
「おっ、元気よく動いてるな」
「そうなの。早くここから出たいみたい」
つい、綻ぶ私の顔。
「無事、元気な子が生まれてくればいいな。オレ、付き添うから。 ミユキが心細くないように」
「ヨシはお店の方優先させてよ。千葉から両親来るし、私は大丈夫」
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