第15章

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本当に城からそこまで遠くない場所だった。 けれど、人気のない場所。 街からも外れている場所。 小さな森の奥にひっそりと佇む建物。 ここが本当にあの神殿なのかと思うような場所だ。 手入れなど一切されていないようなところだからだ。 木材で建てられた神殿は今にも壊れてしまいそうであった。 「あの……ここで待っていてもらえますか?」 一人になりたかった私は護衛してくれている騎士に一声かける。 騎士は私へ一礼し、神殿の入り口の前で歩みを止めた。 古びた扉に手を掛け、ゆっくりと開くと、軋む音が響く。 ゆっくりとした仕草で神殿の中へ入り歩くたび、ミシミシと軋む音がした。 所々、天井に穴が開いていて、雨が降ったら大変そうだ。 周りは質素で飾りなど何もない。 微かに土や古びた木、草のような臭いがした。 それもそのはずだ。 床から雑草が生えていたり、小さな花が咲いていた。 全く手入れされていない無人の神殿。 小さな神殿は森に囲まれているからか中は薄暗い。 少し入った先に祭壇があった。 そして、その近くには誰かが立っている。 静かに祭壇を見据える後ろ姿に私は声を掛けようか迷った。 その時だった。 木々の軋む音に静かにこちらへと振り返る人物。 その瞬間、異様な気を感じた気がした。
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