第15章

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そして祭壇へ一度礼をしてから、私は歩き始める。 色々と考えながら扉へと向かい、扉の外で待ってくれている騎士へと一礼するようにした。 城へと戻っている最中もモヤモヤが消えず考え込んでしまう。 本当にこれで良いのだろうかと。 この国が滅びるとはーー王が消えるということだろうか? そしたら、今の暴君の王はーー 考えたって私には分からない。 どうなるかなどーー それなのに、胸の痛みが消えない。 瑠菜!暴君の王なんだから気にしない! そうよ、ルイツ様がどうなろうと私には関係ないじゃない。 そう思いながら城へと戻る。 城の門の入り口に一台の馬車が停まっていた。 この国の兵士たちに見守られながら馬車へと向かっている人物が見えた。 「瑠菜様、少しここからーー」 私を護衛してくれている騎士の言葉よりも先に私はその見覚えのある人物へと駆け出していた。 驚く声が後ろから聞こえてくる。 あのひとだ! そう思っていたら足が勝手に動いていたのだ。 「あのっ!」 思わず慌てて声を掛ける。 こちらに気がついた人物が瞳をほんの少し見開かせるのを見た。 「あっ」 その途端、私の足がもつれてしまう。 つんのめり倒れていく自分の体をどうすることも出来ず、反射的に手が前へと出た。 ーー転ぶ!! その時だった。 ふわりと優しく手を取られ、私の体を支えてくれる温もりを感じ、目を瞑っていた私はゆるゆるとした仕草で目を開ける。 目に飛び込んできたのは灰色の髪をなでつけた額は広く、色素の薄い黄緑色の瞳は優しげに私を見ている端整な顔立ちをした見知った男性だった。 その瞬間、異様な緊張が周囲から感じた。 周りが妙にざわついている。 周囲に目をやると、顔を蒼白させこちらを見ている兵士たち。 男性の護衛をしている騎士だろうか? その騎士もその光景を目を見張りながら見ていた。 何だろう? と、思いながら見知った男性から急いで離れるようにした。 「いきなりすみませんでしたっ」 深く頭を下げるようにして謝る。 すると、楽しげにクスクスと笑う声がして、私は顔を上げた。 「大丈夫ですよ。また会えましたね」 そう言って優しげに微笑む男性。 それにしても、このひとは地位は高そうだと思っていたが、この国に何か用があったのだろうか? 用事を終え、馬車に乗って帰るところだったのだろう。 「も、申し訳ございませんでした!」 後から駆けつけてきた私の護衛をしてくれていた騎士が慌てて男性へと深々と頭を下げて謝っていた。 その騎士の肩は微かに震えている。 どうして、こんなにも震えているのだろう。 目の前の男性はやはりとても地位の高いひとなのだろうか。 「いえいえ、本当に大丈夫ですから」 優しい口調で告げる男性にこの国の騎士は頭を下げたままだった。 後ろで男性を護衛している騎士が私を鋭い目付きで見据えているのが分かり、私はほんの少し体を強張らせた。 殺気に似たようなものを感じる。 ーー何か、嫌だな。 そう思いながら私は視線を逸らすようにした。
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