第15章

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ーー少し嫌な気持ちになった。 僅かに顔を逸らしていると、不意に耳元で囁かれる。 思わずドキリとなった。 「ここにいたら危ないです」 優しげな声で囁く男性。 恐らく私にしか聞こえていないだろう。 このひとも何か知っているのだろうか? そう思い、私は男性へと目を向けた。 けれど、男性は優しく微笑んでいるだけだった。 「大変失礼致しましたっ」 きょとんとしていると、私を護衛してくれている騎士が相手側に謝り、私をこの場から離れるよう誘導する。 男性の言葉を不思議に思いながらも騎士の後を着いていくようにした。 ーーあのひとは一体何を知っているのだろう。 そう思いながら男性を見ても何も分からない。 門の中へと入り、私を護衛してくれている騎士が安堵するように息をついた。 「何事もなく良かったです」 そう言ってホッとしていたが、私はその言葉の意味が分からなかった。 危ない場面など一つもなかったはずだ。 ただ、男性の騎士が怖かった感じはしたが。 あとは、あの男性はとても偉いひとだったとか? それにしても、私は男性の言葉が引っ掛かってモヤモヤしてしまう。 『ここにいたら危ないです』 あの言葉の意味は? 祈り子様が言っていた邪悪なものたちのことなのだろうか? そして、正面玄関へと入り、私が使っている客室まで騎士が護衛してくれていた。 客室に着き、彼は私に一礼する。 私も礼を告げると、騎士はこの客室から離れていった。 部屋へと入り、私は不安になる思いをどうすることもできなかった。 今夜、ここを抜け出すのだから。 果たして上手くいくのだろうか。 でも、祈り子様を信じていれば大丈夫。 うん、きっと大丈夫! あとは、夜になるのを待つだけだ。 何事もなく夜を迎えられたら良いがーー どうして、こんなにも不安が掻き消せないのだろう。
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