第15章

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ーーチクチク……チクチク 時計の音がやけに響き渡る。 どれぐらい時間が経ったのだろう。 窓に目をやると、外はすっかり夜になっていた。 妙な夜空だーー星が一つもない。 漆黒に覆われた空は奇妙で、ぶるりと思わず身震いした。 やけに静かな部屋、廊下、外。 こんなに静かなことがあっただろうか。 何かが可笑しい。 (…る……な……) 不意に頭の中に聞こえてくる声は途切れ途切れになっていた。 女の子の声ーー祈り子様だ。 そこから、何も聞こえなくなった。 今のが合図だったのだろうか。 私は恐る恐る扉に手を掛け、静かに開けるようにした。 廊下には誰もいない。 静まり返っている廊下に妙な違和感を感じる。 人の気配がない。 そんなはずはない。 誰かしらいつも廊下を歩いていたのだから。 兵士や侍女、執事ーー城内にいるひとたちの姿がない。 ひんやりとした廊下を私はゆっくりと歩く。 どうしてーー誰もいないの? 誰もいない廊下を暫く歩いていると、人影があり、その先に消えていく。 人影の後を追うと扉がほんの少し開いている部屋があった。 誰かいるのだろうか。 薄暗い部屋の扉をゆっくりと開き、私はすぐさま鼻につく異様な匂いに眩暈がしたが、周囲を確認するようにした。 使われていない客室のようだ。 円形のテーブル、椅子、姿見、ベッドがあった。 「……この匂いっ……なに?」 クラクラするようなキツイ匂い。 頭がボーっとしてしまうような感覚になる。 「……誰かっ……いませんか?」 むせかえるような匂いに声が出ない。 フラフラとなりながら動かす足は限界だった。 立っていられなくなる。 身体中がとてつもなく熱い。 ここから早く出ないとーーー 「……はぁ……はぁ」 喉が異常に渇く。 そこで、誰かがこちらに来る足音がした。 視界が歪んで見える。 誰なのかーー分からない。 何も考えられない。 ただ、身体中が熱くーー喉が異常に渇いてしまう。
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