第1章

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この別世界には言い伝えがあるらしい。 異世界から来た少女は一つの願いを叶えることができる、特殊な力がある。 それは聖女と等しい。 それが、私だと言うのか。 幸運をもたらしてくれるとか勝利を導くとか、私には何の力もないのだから無理である。 そして、この国はクルニナ王国らしく、先程の青年はこの国の王様らしい。 赤い龍がこの国のシンボル。 他国と戦乱が続いているらしい。 青い鳥をシンボルとした国は、先程私を襲った騎士の国だ。 色々と説明されたあと、私の部屋を用意してくれたようで、私はそこで休んでいる。 白の壁紙に、大きな綺麗なベッド、天蓋がついている。 一人にしては広い部屋だ。 休んでいるとガチャリと扉が開き、私は緊張しながら見守った。 ひょこっと顔を出したのは、中性な顔立ちをした少年。 栗色のふんわりとした髪に、ふっくらとした可愛らしい頬に、丸い目元の若葉色の瞳。 「本当にいる!僕、ライラって言います。えっとね、伝説の聖女さんにどーしても会いたくて、来ちゃいました!」 えへへ、と可愛らしく笑う少年はまるで小動物のように可愛い。 まさに、天使だと思う。 「あの...私は、神崎瑠菜と言います」 「名前まで不思議なんだね!凄い!!えっと、瑠菜さんよろしくお願いします」 私が名前を言うと、嬉しそうに笑いながらお辞儀をするライラさん。 ここへ来て私は少しだけ心が安らいだ気がした。 毎日が不安だった。 帰りたいと何度も思った。 けれど、帰る方法が全く分からない。 ライラさんのお陰でどうにかここで暮らしていける。 そんな日々が一ヶ月は過ぎたーー
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